映画「受験のシンデレラ」のストーリー

余命1年半のカリスマ塾講師と高校を中退した少女が東大受験に挑む

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東京大学の合格発表日―。合格掲示板の前に集まった受験生には胴上げの祝福を受けるものもいれば、感極まって泣き出すものいる、そして当然悔し涙を流すものも…。

しかし、受験生の命運を左右するこの日を単なる「通過点」としてしか捉えていない男がいた。東大合格率第一位を誇る名門予備校「ミチターゼミナール」を設立し、自身も講師を務める五十嵐(豊原功補)である。

「受験指導のカリスマ」として富も名声も手に入れた五十嵐は、自分の地位におごり高ぶった日々を送くうちに、予備校設立時の志を失っていた。
そんなある日、勤務医として働く大学時代の友人・小宮の病院で検査を受けたところ、末期がんが見つかり、余命1年半と宣告されてしまう・・・。

突然のがん宣告。己の運命に悲嘆、絶望した五十嵐だったが、そんなある日、彼は立ち寄ったコンビニで貧しそうな16歳の少女・真紀(寺島咲)と出会う。店員に「代金を別々に払えば2円安くなる」と問い詰める真紀。「297円に消費税を加えると311円。しかし、99円を3点別々に買うと、2円安くなる…」というわけだ。

レジでの消費税計算において、真紀に非凡な数学的センスを感じた五十嵐の話を聞く。真記は経済的に困窮している母子家庭に育っていた。本来なら大黒柱であるはずの母親はまともに働かず、遊びほうける毎日。

一方、真紀は高校は中退して、家業の洋服屋で仕事を手伝いながら家計を支えているだった。一緒になろうと夢見た彼氏に冷たくあしらわれ、家には借金取りがやってくる…。そんな日々に自暴自棄になり、家を飛び出した矢先に偶然出会ったのが五十嵐だったのだ。

昔の五十嵐は教育費にお金をかけることのできる裕福な家庭だけが東大に合格できるという状況に矛盾を感じていた。ヤル気はあるけど経済的な環境で進学を諦めざるを得ない学生の力になりたいと予備校を設立した経緯を持つ彼は、真紀の話を聞いて、自分が見失っていた初心を取り戻す。

そして、格差社会の最底辺とも言うべき母子家庭の彼女を東大に合格させ、新しい人生のスタートラインにつかせるを決意する。
五十嵐は真紀にこう問いかける。「人生は変えられる。道は自分で切り開いていけるんだ。気付くのに遅すぎるってことはない!お前は人生を変える気はないか?」と。日本一のカリスマ教師が人生最後の生徒として選んだ真紀。1年半後の東大合格に向け、500円コイン一枚の授業料で、二人の挑戦が始まった。

その日から五十嵐はカリスマ予備校講師として長年培ってきた受験テクニックを真紀に伝授し、大学受験を考える高校中退者の最初のハードルとなる高認(高等学校卒業程度認定試験、かつての“大検”)に合格させる。その後も徐々に学力を上げる真紀だったが、初めて受けた東大模試は最低の「E判定」の評価、母親からは「もっと現実的に生きなさいよ」となじられ、心が折れそうになる。

末期がんに苦しみながら、緩和ケアの治療を受ける五十嵐にとって、人生最後の希望は真紀ただ一人。医師から寿命と宣告された一年半を超え、なお果敢に病気に立ち向かって生きようとする五十嵐の生き様は、いつしか、真紀の人生にも大きな影響を与えていく…。そして、五十嵐と真紀にとって運命の東大受験の日がやってきた…。

キャスティング(出演者・監督)

ヒロインの真紀役には映画「転校生〜さよならあなた〜」や「きみに届く声」、ドラマ「金曜ドラマ 3年B組金八先生」などの出演作品がある実力は若手女優・寺島咲。受験に関連するところでは2004年に「家庭教師のトライ」のCMにも出演している。2009年に明治大学へ自己推薦を経て入学。

病と闘いながら真紀と二人三脚で東大合格を目指す五十嵐役には、映画「闇の子供たち」などのシリアスな役柄のほか、近年はドラマ「電車男」、「のだめカンタービレ」、「時効警察」などで三枚目の役で新境地を切り開いている豊原功補を起用。

監督は名門灘高校で落ちこぼれるものの、半ば独学で東大医学部を卒業し、数々の受験指南本を書いている精神科医の和田秀樹。本作品が初監督となるが、アーティストや俳優が初めてメガホンを取り、必要以上に「芸術性」を追求した結果、自己満足的な映画で終わることが多い中、本作品は基本に忠実な娯楽作品として仕上がっている。本作品のテーマである格差社会、受験、そして末期癌に対する緩和ケアは受験のプロフェッショナル、そして精神科医である氏の精通するところであり、非常にリアリティが高い。

本作品は第4回モナコ国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(豊原功補)、最優秀主演女優賞(寺島咲)、最優秀脚本賞(武田樹里)の4部門で受賞に輝いている。